2011/7/18
所属していた「東京電力マリーゼ」は福島第1原発事故を受けて活動を休止した。なでしこジャパンの鮫島彩選手(24)は苦悩を重ねたが「大舞台で活躍して周りのみんなを元気づけたい」との思いでサッカーを続け、見事栄冠を手に。決勝戦の後、支えてくれた人たちへの感謝の言葉を口にした。
チームの本拠は福島県。「サッカーどころじゃない」という状況に陥った。それでも気持ちが途切れなかったのは、周囲の激励とワールドカップ(W杯)があったからだ。「ドイツで活躍して、マリーゼのファンや仲間に元気を出してもらおう」
小学1年の時、栃木県の女子チームでボールを蹴り始めて以来、サッカー一筋。ただ、グラウンドに出る時には日焼け止めを欠かさず、休みの日には買い物を楽しむ一面も。父俊裕さん(55)は「オフには女の子らしいんですよ」とほほ笑む。
W杯では左サイドバックとして全試合に出場。小学生のころから鍛えてきた切れ味鋭いドリブルを生かして攻撃にも参加し、優勝に大きく貢献した。宇都宮市の自宅でテレビ観戦した俊裕さんと母佳代子さん(52)は「優勝メンバーに、わが子がいるのがうれしい」と涙を見せた。
試合後のインタビューで「東京電力から移籍することになって、特別な思いで大会に臨んだのではないか」と問われた鮫島選手。「この場に立っていられるのはたくさんの方が支えてくれたおかげ。私に関わってくださったすべての皆さんに心から感謝したいです」。言葉を選びながらも、お礼の気持ちを示すことを忘れなかった。
共同通信