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[新指揮官に聞く]樋口 靖洋監督(横浜F・マリノス)/聞き手:藤井雅彦()

2012/2/14

[新指揮官に聞く]樋口 靖洋監督(横浜F・マリノス)/聞き手:藤井雅彦

●あっという間に始動日を迎えた

──突然の監督就任だったと思います。昨年12月29日の心境をあらためて聞かせてください。
「(木村)和司さんが契約解除になるということで、とても驚きました。その後、クラブから監督就任というオファーをいただいて、とても重い仕事だということは分かっていますから考えました。でも早く決断しなければいけない時期だったので、すぐに『やろう』という気持ちになりました」

──樋口監督は日産自動車サッカー部出身ですし、監督として横浜FMを率いるのはやはり特別ですか?
「日本サッカー界をリードしてきた伝統あるクラブですからね。でも監督の重みや背負うものの大きさは、これまで率いてきた山形、大宮、横浜FCと変わらない。現役時代にプレーしていて、指導者としてのキャリアをスタートさせたチームなので、自分の中の思い入れとして、『いつかはこのチームの監督を』という気持ちはありましたけどね」

──さすがにこのタイミングとは予想できなかったと思います。
「“いつか”がいつ来るかは分かりませんから、準備できるものでもない。逆に言えば監督はオファーがなかったらできるものではないですよね。そこは自分の中でトライするタイミングと捉えなければいけないと感じています」

──監督就任から新シーズンの始動日まで時間が短かったと思います。
「正直、オフらしい感じはまったくしませんでしたね。いろいろなことを考えて、決めなければいけない。あっという間に始動日を迎えました」

──オフと言えるような時間はどれくらいあったのですか?
「高校サッカー選手権でアニキ(四日市中央工高・樋口士郎監督)の試合を観に行っていたときくらいですね(笑)。選手権はすごく良かった。自分の中でモチベーションが上がったというか、原点を感じる瞬間でした。全試合観に行ったけど、四中工の勝ち方もロスタイムの同点ゴールやPK戦での勝ち上がりがあったりして、サッカーの面白さがあった。逆に市立船橋高との決勝戦ではサッカーの怖さ(後半ロスタイムに追い付かれて延長戦で逆転される)もありましたよね。僕も高校サッカー出身の人間なので、原点というか国立の素晴らしさをあらためて感じました。サッカーマンとして良い時間をこのタイミングで過ごさせてくれたという意味で、アニキにも母校にも感謝しています」

●選手が自信を持ってプレーできる環境を作る

──09年の横浜FC以来、3年ぶりの監督就任です。
「これまでに率いたクラブでそうだったように、監督としての面白さは当然ありますし、決断していく上で腹をくくる瞬間もある。それでチームが良い方向に向かったときの喜びや選手が良いプレーをしたときの興奮は監督にしか味わえないものがある。これまでの監督経験を生かしていきたいですね」

──これまで率いた3クラブと比較して、横浜FMの戦力は上なのでは?
「確かに総合的なポテンシャルは高いかもしれません」

──就任以降、「ポテンシャルを引き出す」という発言が何度かありましたが、それは具体的にどういったことなのでしょうか?
「選手が変に考え過ぎたり、迷いながらプレーしないように整理をしたい。自分の判断で思い切ってプレーできるということが、ポテンシャルを引き出すことでもある。ポジションやチーム戦術もありますけど、まずは選手が自信を持ってプレーできる環境を作る。それが能力を発揮する近道だと思います」

──昨年終盤に失速したチームは自信を失っていたように感じました。
「自信もそうですし、迷いですよね。うまくいかないときにどこに戻ればいいのか、というような…」

──コーチとしての仕事を振り返って、「こうするべきだった」というようなことはありますか?
「“監督のサポート”にはいろいろな形があります。例えば監督の意図を選手に伝えるというのは大きな仕事。終盤に失速したとき、僕はもっと何かできたんじゃないかという思いはあります。それはコーチとしての責任です」

──コーチから監督に立場が変わり、選手たちの接し方は変わりましたか?
「千差万別じゃないですか。表面上は今までと同じような声がけをしてくる選手もいますし、ちょっと違ったように線を引いている選手もいる。ただ、立場の違いは分かっていると思いますよ」

──ある選手が「とりあえず“やっさん”(樋口監督の愛称)はやめようかな」と言っていました。
「ハハハ(笑)。僕から『“やっさん”はやめろ』と言うのは簡単だけど、そういうものでもないですから。呼び方が変わった選手もいれば、“やっさん”のままの選手もいる。それは個々の表現方法ということでしょう」

──監督となり、目に映るものは変わりましたか?
「ここまでは主にトレーニングの時期なのであまり変わらないですね。和司さんの下で2年間コーチを務めて、トレーニングに関しては任せてもらっている部分も多かった。だからトレーニングをやっている中で選手を見るというのはあまり変わらない。監督やコーチというのではなく、指導者として見ているというのもあるでしょうね」

──違いを感じるのはいつごろでしょうか?
「これからシーズンが近付き、始まる段階になって、選手を決めなければいけない。これは監督にしかできない作業です。その最たるものが11人を決める、18人を決めるという作業。それが監督と選手の距離が明確に出るところだと思います。決断するのはコーチでも選手でもなく、監督ですから」

──では、監督にとっての一番の仕事は?
「スケジュールを決めること、クラブからの要望について現場で受けるかどうかなど、チームマネジメントとして決めていく。それと試合に向けて、戦い方からメンバーから交代から、タイミングを考えて決めていくこと。つまり決断することが監督の仕事です」

──忙しい、大変という感覚ですか?
「語弊がないようにしたいけれど、決められるからラクということもあるんですよ。コーチは思っていることを言うのにすごくタイミングを考えるし、提案してもそれが実現するかどうかは分からない。逆に監督は決めなければいけない。それは魅力でもありますよね。そんなに忙しいという感覚はないですよ」

──やりがいは大きいのでは?
「それは責任と比例して大きいですね。やりがいがあるからこそ責任や背負うものも大きい」

──余談になりますが、私生活でも何かを決めることが得意なタイプなのですか?
「そうですね、自分で決めたい人です。小さなころから学級委員をやっていましたし、わりと物事を決めるのが好きな人間かもしれない。中学時代からずっとキャプテンをやっていましたね。どうせなら自分で決めたいじゃないですか(笑)」

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