2012/4/4
田坂和昭監督のもと初の3連勝を成し遂げた前節・愛媛戦は、コンディション調整明けの高松大樹選手の復帰戦でもありました。高卒ルーキーとして大分に加入して以来12年、J1昇格やナビスコ杯優勝、その翌年のJ2降格と、大分一筋でクラブとサッカー半生を共にし、昨季のFC東京への1年間の期限付移籍から帰還した“ミスター・トリニータ”の、1ヶ月遅れの開幕です。大分のユニフォーム姿でピッチに立つのはおよそ1年4ヶ月ぶり。東京へと旅立つ夜のフェリー乗場で大量に流れた彼の涙を思い出すと、万感の思いが胸に迫ります。
苦しい時間帯をしのぎ1-0でリードして迎えた84分、ベンチで準備する高松選手の気配にスタンドがざわめきはじめました。交代が告げられると盛大な拍手とチャント。堂々と大銀ドームに帰ってきた高松選手の、空中で競り勝ち前線でタメをつくりながら相手の背後も狙う巧さとしたたかさは、やはり圧巻です。森島康仁選手が負傷離脱中の現在、前線の基点として欠かせない存在。
アディショナルタイムも残りわずか、高松選手が時間を使うようにサイドラインにそって前線の木島悠選手へと緩いパスを送ります。あ、ちょっとミスった、これはラインを割る、と思ったボールは、特に回転がかかっているようにも見えないのに何故かゆっくりと軌道修正。それはもう芝目を読んだとしか思えない絶妙さで木島選手に届いたのです。さすがミスター・トリニータ、大銀ドームを知り尽くした男!
…と、そんな冗談も言いたくなるくらいに、高松選手には大分のピッチが似合っていました。いろんな事情もあるだろうけれど、もう二度とこの選手を他所へと移籍させたくない。そう感じたサポーターも多かったのではないでしょうか。実は試合後、こんな日に限ってドーピング検査のクジに当たり、彼のコメントを取るために集まっていた報道陣を2時間近く待たせたりもして、勝利と復活の夜は和やかな笑いの渦に。そんな“持ってる”高松選手が、この日ようやく本当に、大分のピッチへと帰ってきました。おかえりなさい!
サッカー専門紙EL GOLAZO/BLOGOLA